NbSアクション

NbSとは

⾃然が有する機能を持続的に利⽤し、多様な社会的課題の解決につなげる考え⽅は、「⾃然を活⽤した解決策(Nature-based Solutions, NbS)」と呼ばれています。
IUCN(国際⾃然保護連合)では、NbSを「社会課題に効果的かつ順応的に対処し、⼈間の幸福及び⽣物多様性による恩恵を同時にもたらす、⾃然の、そして、⼈為的に改変された⽣態系の保護、持続可能な管理、再⽣のための⾏動」と定義しています。

NbSの定義の概念図(IUCN2020)

NbSには、グリーンインフラやEco-DRR、⽣態系を活⽤した適応策(EbA:Ecosystem-based Adaptation)などが含まれ、あくまでそれらを統合する「傘」としての役割を果たす概念と⾔えます。なお、NbSは、気候変動や⾃然災害を含む社会的課題に対応し、⼈間の幸福と⽣物多様性の両⽅に貢献するものであるため、⾃然の有する機能を利⽤していても⽣物多様性の損失を招く取組はNbSには当てはまりません。

Tokyo-NbSアクションとは

⽣物多様性は、⾷料の供給や災害防⽌、緑地におけるストレス解消など、社会的課題の解決に資する様々な価値を有しています。⽣物多様性の恵みを持続的に利⽤し、⾃然の機能を都⺠⽣活の向上に活かしていくためには、NbSとなる様々な取組を、⾏政・事業者・⺠間団体などの各主体が共に推進していく必要があります。
東京都は、2030年までを「NbSの定着期間」と捉え、各主体がNbSとなる取組を実施していくことを⽬指しています。そのため、⽣態系の機能を活⽤して都が抱える社会課題に対応し、⼈間の幸福と⽣物多様性の両⽅に貢献する事例をTokyo-NbSアクションとして発信し、⾃然の様々な価値を「⾒える化」することで、各主体のNbSの取組を促進していきます。

その取組の一つとして、東京都は、東京都内においてNbSとなる様々な活動に取り組む主体をTokyo-NbSアクションメンバーとして募集し、その内容を発信しています。

また、2024年度から、先駆的にNbSに取り組む事業者等を表彰する「Tokyo-NbSアクションアワード~自然とともに、未来をつくる~」を実施しています。

Tokyo-NbSアクションの考え⽅

Tokyo-NbSアクションの考え⽅は以下のとおりです。
⽣態系の機能を活⽤して都が抱える社会課題に対応し、⼈間の幸福と⽣物多様性の両⽅に貢献するもの

▶⽣物多様性への貢献とは、取組(⾏動)が⽣態系の保全、管理、回復(再⽣)、⼜は持続可能な利⽤につながること
▶取組が及ぼす効果、影響及び範囲に配慮しながら関係者と連携していること

※ 企業、⺠間団体及び⾏政の取組が対象

Tokyo-NbSアクションの考え⽅

社会課題の例

IUCNの社会課題 東京都の課題
①人間の健康
②気候変動
③自然災害
④社会と経済の発展
⑤食料安全保障
⑥水の安全保障
⑦環境劣化と
生物多様性の損失
子供の福祉 子供の健やかな成長を社会全体でサポート
都民の健康・長寿 誰もが元気で心豊かに暮らせる地域の実現
コミュニティ形成 誰もが集い、支え合うコミュニティを至るところに形成
・防災・減災
・気候変動対策
地球温暖化に伴う豪雨や自然災害等の被害軽減
地域振興 東京全体の生産性、魅力向上
観光・文化振興 人々のウェルビーイング、東京のプレゼンス向上
農林水産業の成長 危機に強い産業構造への転換
・緑や水辺を生かした空間の創出
・自然地保全・管理
都市機能を高め、世界を魅了

活用する生態系の機能の例

供給サービス 日々の暮らしに必要となる資源を供給 食料、繊維、木材、水、薬品
調整サービス 二酸化炭素の吸収
都市環境の質の向上 ヒートアイランド現象
暑熱環境の緩和
大気汚染や騒音の低下
災害の緩和
台風、洪水、津波、地滑り、
雨水浸透、Eco-DRR
水質の浄化 窒素やリンの吸収、有機物の取り込み
花粉媒介 植物の世代交代
農作物の収穫量の増加
文化的サービス 精神を豊かにする機能 芸術的・文化的なひらめき、教育的効果、心身のやすらぎ、観光レクリエーションなど
基盤サービス 生息・生育環境の提供
光合成による酸素の生成
地力の維持及び栄養循環

※ 東京都生物多様性地域戦略における"生態系サービス"を参考